初めてのミシン操作、糸調子を教わりながら何枚か布を縫っている時のこと。「ゴトゴトゴト!」とミシンが走り出すのをコントロールしながら、なんとかまっすぐに縫えた(と思い込んだ)布を先生(妻)に見せようとすると、またもや「ちょっと待って!」の声が。
「返し縫い」って何?
「この縫い目、すぐにほどけちゃうわよ。縫い始めと縫い終わりは『返し縫い』をするのが基本なの」
「え、返し縫い?何それ?」
私が首を傾げると、先生は優しく説明してくれました。
「返し縫いっていうのはね、縫い始めと縫い終わりに数針分だけ縫い目を重ねて縫うことよ。こうすることで、縫い目がしっかりと固定されて、後から糸がほどけたり、ほつれたりするのを防ぐの。」
なるほど、そんな大切な作業があるのか!洋裁って本当に奥が深い…。
返し縫いのやり方と私の奮闘
先生に言われて、ミシンの**「返し縫いレバー」**を探します。私の「TOKYO OTOKOミシン」には、前面右側にレバーが付いていました。
「縫い始めは、2~3針縫ったらレバーを上げて、縫い目を重ねてから、またレバーを戻して普通に縫い進めるの。縫い終わりは、縫い終わりの手前で同じように2~3針返し縫いをして止めればOKよ。」
言われた通りにやってみるものの、これがなかなか難しい!
- レバーのタイミング: 縫い始めにどこまで縫ったらレバーを操作するのか、縫い終わりにいつ戻すのか、最初は戸惑います。思ったより針が進んでしまったり、逆に短すぎたり…。
- 縫い目の重なり: 返し縫いの部分がモコモコしすぎたり、逆に全然重なってなかったり。きれいな「お団子」にならないように調整するのが難しいんです。
「まっすぐ縫うだけでも大変なのに、さらに戻ったり進んだりするのか…」と内心思いましたが、これも練習あるのみ!先生の「大丈夫よ、すぐに慣れるわ!」という言葉に励まされ、何度も練習布で試しました。
返し縫いの「納得」と小さな達成感
何度か繰り返すうちに、少しずつレバーを操作する感覚がつかめてきました。試し縫いの布を見てみると、返し縫いをした部分は確かに縫い目がしっかりとしていて、引っ張ってもほどける気配がありません。
「おお!本当にほどけないぞ!」
この小さな発見と達成感は、洋裁の楽しさを一段と深く感じさせてくれました。地味な作業だけど、作品の強度や美しさを保つためには、この「返し縫い」が本当に重要なんだと納得。
美しい縫い目を意識するようになった私の洋裁ライフ。基本の「き」である返し縫いをマスターして、いよいよ次の工程、本番のコースター作りに挑みます!

2針程度返し縫いができました。

正式には「送り調整レバー」というそうです。
下半分の数字は針の送り幅を示しています。
中央の線より上へ上げると返し縫いができます。